八丈島の歩き方

Category / Gourmet

はん

八丈島でしか食べられないもの、八丈島で食べると一段おいしいもの。
5つのEpisodeで、固有名詞をケチらずに。
ジャージー牛の写真
明日葉の写真
くさやの干物の写真
#王道#発酵#濃厚#365日#5蔵
↓ FIVE EPISODES OF TASTE

Introduction

黒潮の真上で、
365日、地魚が強い島。

八丈島の食卓は、海と火山土壌でできています。黒潮が島の南をかすめるので、地魚は年中どこかが旬。火山性の水はけのいい土壌では、明日葉やパッションフルーツが普通に育つ。乳業もあって、ジャージー牛乳のソフトクリームが島内で食べられます。

島のグルメは、本土の郷土料理のように「観光客向けにアレンジされる前の形」が、まだそのまま残っています。島寿司には今もわさびではなく辛子が乗っていて、くさやの干物は朝、漁港の近所で焼かれている。お土産屋さんのパッケージで初めて見るんじゃなくて、居酒屋の小皿で出会うことのほうが多い。

このページでは、八丈島で「これを食べないで帰ったら損」と僕が思っている5つの軸を、雑誌の Episode のように1本ずつ。それと、その周辺の4つの場所を最後にまとめます。

Episode 01

SHIMAZUSHI

01

#王道#辛子#地魚

島寿司

醤油漬けの白身に、わさびではなく辛子をのせる

八丈島でいちばん有名な郷土料理。地魚を漬けダレに数時間漬け、シャリにのせて握る。わさびの代わりに、辛子。これが八丈島ルール。

Photograph / 島寿司の朝、地魚の漬け込み(差し替え予定)
Photograph / 島寿司の朝、地魚の漬け込み(差し替え予定)

島寿司は、地魚(メダイ、シマアジ、カンパチ、ムロアジなど)を醤油と砂糖、みりんを合わせた漬けダレに数時間漬け込み、シャリにのせて握ります。漬けの色と艶がきれいに乗った魚に、辛子がつんと効いて、ご飯の甘さで包む、というのが島寿司の構造。

辛子になった理由は、冷蔵設備のなかった時代、わさびが手に入らなかったから。代わりに保存性のある辛子を使った、というのが定説です。今はわさびも普通に手に入りますが、伝統として辛子のままを守っている店が多い。

辛子の鼻に抜ける感じが、ネタの脂と砂糖の甘さに、すっと一本筋を通す。

島内で食べるなら、空港から車で5分の〈寿し処 銀次〉、三根の〈梁山泊〉、八重根の〈大吉丸〉あたりが定番。テイクアウト派なら、スーパー〈あさぬま〉や〈ストア中田商店〉のパック寿司も意外に強い。

Detail / 〈梁山泊〉のカウンター
Detail / 〈梁山泊〉のカウンター
Detail / 漬けの艶
Detail / 漬けの艶

Where to taste it

楽しめるお店・売り場

  • 01
    寿し処 銀次三根 / 空港から車5分

    朝の便で着いてカウンターに座る、が一番贅沢な使い方。漬けが厚くて、ネタの存在感が強い。

  • 02
    居酒屋〈梁山泊〉三根

    島ごはん全般の老舗。一品料理を一通り頼んだあと、〆の島寿司、という流れが島の正解。

  • 03
    大吉丸八重根

    漁師町まで足を伸ばす価値があるお店。地魚の鮮度がそのまま握りに出てくる。

  • 04
    スーパー〈あさぬま〉三根

    夕方17時頃に並ぶパック寿司。宿に持ち帰る用としては実はかなり強い。

Episode 02

KUSAYA

02

くさやの干物の写真
#発酵#伊豆諸島#酒の友

くさや

好き嫌いが分かれる、八丈島の発酵食

ムロアジやトビウオを「くさや液」に漬けてから干す、伊豆諸島の発酵干物。強烈な香りで知られるが、現地で焼きたてに出会うと印象が一変する。

Photograph / 朝の港、ムロアジの陸揚げ(差し替え予定)
Photograph / 朝の港、ムロアジの陸揚げ(差し替え予定)

くさやは、八丈島・新島・大島など伊豆諸島の発酵干物。ムロアジやトビウオを「くさや液」と呼ばれる発酵液に漬けてから干したもので、独特の強い香りで知られています。

現地で焼きたてを食べると、香りに対して味のうまみがかなり大きいことに気づきます。アンモニア系の刺激は確かにあるけれど、奥にしっかりとした発酵由来の旨味と塩味が乗っていて、島焼酎と合わせると一気にバランスが取れる。

鼻で身構える時間より、口に入れてからの方が圧倒的に長い。

「ご当地で食べると印象が変わる食べ物ランキング」上位だと、僕は思っています。島内で買うなら〈藍ヶ江水産〉〈長田商店〉が定番で、〈藍ヶ江水産〉の工房直売所ではくさやのバーガーまで出していて、初心者の入り口としては実はかなり優しい。

Detail / 〈藍ヶ江水産〉工房の干場
Detail / 〈藍ヶ江水産〉工房の干場
Detail / 焼きたての断面
Detail / 焼きたての断面

Where to taste it

楽しめるお店・売り場

  • 01
    藍ヶ江水産 工房直売所中之郷

    くさやバーガーが入門編。香りに対する身構えが解けて、ふつうに美味しいやつとして食べられる。

  • 02
    長田商店大賀郷

    焼いた状態で店頭に並ぶ時間帯がある。レンチン不要でそのまま島焼酎と合わせられる。

  • 03
    居酒屋〈梁山泊〉三根

    焼きたてを島焼酎で。「ご当地で食べると印象が変わる食べ物」の代表例として、ここで体験するのが正解。

Episode 03

ASHITABA

03

明日葉の写真
#365日#島野菜#朝食

明日葉

今日摘んでも、明日には葉が出る、と言われた島の野菜

セリ科の多年草で八丈島が代表的な産地。葉、茎、根まで全部使える。栄養価が高く、独特の苦味が酒にも食事にもよく合う。

Photograph / 朝の畑、摘んだばかりの明日葉(差し替え予定)
Photograph / 朝の畑、摘んだばかりの明日葉(差し替え予定)

明日葉(あしたば)は、セリ科の多年草で、八丈島が代表的な産地。摘んでも翌日には新しい葉が出ることからこの名前。葉、茎、根まで全部使えて、栄養価がとにかく高い野菜として知られています。

島内では、明日葉の天ぷら、明日葉の白和え、明日葉のおひたし、明日葉そば、明日葉パスタ、明日葉アイスまで、ありとあらゆる形で出てきます。苦味が独特ですが、天ぷらにすると一気に食べやすくなって、生まれて初めて食べた人でも大体気に入ります。

苦味は、ちゃんと残っているほうが、僕は好きです。

お土産には、青葉さんの〈あしたば麺〉と、八丈島乳業の〈明日葉アイス〉がほぼ鉄板。空港の売店でも買えます。

Detail / 天ぷらにした葉
Detail / 天ぷらにした葉
Detail / 茎と葉の根本
Detail / 茎と葉の根本

Where to taste it

楽しめるお店・売り場

  • 01
    梁山泊三根

    八丈島で予約が一番取りにくい郷土料理屋。明日葉ビール、明日葉の天ぷら、島寿司まで島の食材で固められる。空港から車で5分。

  • 02
    一休庵大賀郷

    明日葉を練り込んだ緑色の麺の「明日葉そば」が看板。大きなエビと明日葉の天ぷらが付いて、僕は朝のぶり予約後の昼に滑り込むことが多い。木曜定休。

  • 03
    千両樫立

    1961年創業の蕎麦屋。天ざるの天ぷらは明日葉の新芽だけを使うので、苦味より香りが先に来る。月・火休、夜は18:45ラストオーダーなので早めに。

  • 04
    八丈島ジャージーカフェ大賀郷

    スーパーあさぬまの隣。明日葉白玉あずきパフェと明日葉スコーンが置いてある、明日葉×ジャージーミルクの直球の交差点。10:00〜17:00。

Episode 04

JERSEY MILK

04

ジャージー牛の写真
#濃厚#1軒だけ#手土産

ジャージー牛乳

島に1軒の乳業で搾られる、濃い茶色のラベル

八丈島乳業のジャージーミルクは、本土のホルスタイン牛乳と隣に並べると、まず色で違いがわかる。乳脂肪分が高くて、口当たりは「重い」より「濃い」。

Photograph / ふれあい牧場のジャージー牛(差し替え予定)
Photograph / ふれあい牧場のジャージー牛(差し替え予定)

八丈島には〈八丈島乳業〉という一軒だけの乳業会社があって、ジャージー種の牛を飼育して牛乳・ヨーグルト・アイスを作っています。スーパーの牛乳と並べると、まず落ち着いた茶色のラベルで一発で見分けがつきます。

ジャージー種の牛乳はホルスタイン種に比べて乳脂肪分が高く、味が一気に濃い。八丈島乳業のものは火入れも最小限なので、口当たりは「重い」というより「濃い」。500mlで400円弱、安くはないけれど、東京で同等品を探すと倍はします。

東京で同じ味を探したら、たぶん倍の値段になる。

派生プロダクトで強いのが、〈明日葉アイス〉と〈ジャージーソフトクリーム〉。苦味のある明日葉を香りだけ立たせて、ベースのジャージーミルクのコクで包み込む、見事なバランス。空港の売店でも買えますが、できれば底土港近くの直売所で食べてほしい。

Detail / 朝の搾乳
Detail / 朝の搾乳
Detail / 直売所のソフトクリーム
Detail / 直売所のソフトクリーム

Where to taste it

楽しめるお店・売り場

  • 01
    八丈島乳業 直売所底土港近く

    ジャージーソフトクリーム、瓶牛乳、明日葉アイス、ヨーグルトが一通り揃う本拠地。

  • 02
    ふれあい牧場大賀郷

    放牧されているジャージー牛を見学+ソフトクリーム。八丈富士をバックに食べる景色は反則。

  • 03
    スーパー〈あさぬま〉〈ストア中田商店〉三根 / 大賀郷 / 中之郷

    瓶入りジャージー牛乳、500ml で400円前後。冷蔵ある宿に持ち帰って朝に飲むのが好き。

  • 04
    八丈島空港 売店三根

    お土産用パッケージ。常温は無いので、保冷バッグと氷を持ち込むのが鉄則。

Episode 05

SHIMA SHOCHU

05

#5蔵#夜の島#麦焼酎

島焼酎

八丈島の夜は、ロックか水割りで

1853年、薩摩から流刑された丹宗庄右衛門が伝えた製法をルーツに、島内で焼酎づくりが続いてきた。麦焼酎が主流で、九州とも本州とも違う系譜。

Photograph / 〈情け嶋〉のロック、夜の島時間(差し替え予定)
Photograph / 〈情け嶋〉のロック、夜の島時間(差し替え予定)

八丈島の蒸留所で造られる焼酎をまとめて「島焼酎」と呼びます。中心は麦焼酎で、一部の銘柄は芋焼酎、麦と芋の混和。九州の本格焼酎とは別系統で、麦の風味がしっかり残った、すっきりとした飲み口が特徴です。〈八重椿〉〈情け嶋〉〈黒潮〉〈島流し〉〈鬼ごろし〉あたりが代表銘柄。

個人的に推しなのは八丈島酒造の〈情け嶋〉。麦の風味と切れの良さのバランスが取れていて、島寿司にもくさやにも合う。芋系なら、磯崎酒造の〈黒潮〉のロックで、夜の島時間が一気に深くなります。

麦焼酎を、本州側からの北限じゃなく、南限として味わう夜。

蒸留所見学を受け付けているのは八丈島酒造と磯崎酒造(要事前予約)。空港・港の売店、地元スーパーでだいたい揃いますが、限定銘柄は蒸留所直売所でしか買えないものもあります。

Detail / 蒸留所の仕込み
Detail / 蒸留所の仕込み
Detail / 〈黒潮〉のラベル
Detail / 〈黒潮〉のラベル

Where to taste it

楽しめるお店・売り場

  • 01
    八丈島酒造大賀郷

    〈情け嶋〉〈八重椿〉の蔵元。蒸留所見学は要事前予約。直売所限定銘柄もある。

  • 02
    磯崎酒造中之郷

    〈黒潮〉の蔵元。芋系の中では飲みやすい銘柄で、初心者にはここから勧めたい。

  • 03
    樫立酒造樫立

    〈鬼ごろし〉〈島流し〉。坂上の小規模蔵で、独特の風味がいい意味で残っている。

  • 04
    島内の居酒屋全般三根 / 大賀郷 / 中之郷

    グラス1杯500-700円。〈梁山泊〉などでは複数蔵の銘柄を1晩で飲み比べできる。

Where to Eat

どこで食べるか、買うか

5つの軸を踏まえて、実際に島で食べる/買う場所のリストです。順次レポートを書き足していきます。

  • 06

    居酒屋〈梁山泊〉

    三根の老舗居酒屋。島寿司から地魚の刺身、明日葉の天ぷらまで、八丈島の夜ごはん入門編。

    Coming Soon

  • 07

    島カフェ・喫茶

    中之郷の〈名古の展望〉、空港近くの〈Cafe Tanto〉。コーヒーと景色を一緒に飲む昼の時間。

    Coming Soon

Gallery

島の台所、断片で。

撮りためた八丈島の食の風景から。写真は順次差し替え予定。

  • 島寿司、辛子をのせる瞬間
    島寿司、辛子をのせる瞬間
  • Cafe Tanto の朝
    Cafe Tanto の朝
  • 梁山泊のカウンター
    梁山泊のカウンター
  • 明日葉の天ぷら
    明日葉の天ぷら
  • 底土の朝、ムロアジの陸揚げ
    底土の朝、ムロアジの陸揚げ
  • ジャージーソフトクリーム
    ジャージーソフトクリーム
  • ふれあい牧場のジャージー牛
    ふれあい牧場のジャージー牛
  • 八丈島酒造の蒸留所
    八丈島酒造の蒸留所

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