観光 / 2026年5月27日
八丈島での移動手段について、いちど考える。
1泊2日の観光でレンタカーを借りずに来たら、宿でカップ麺を食べる夜になりました。失敗から書く、八丈島の移動手段──レンタカー、町営バス(BU・S・PA)、タクシー、徒歩・自転車。それぞれの居場所と、滞在スタイル別の組み合わせ方。
僕
ホテル運営者・編集長 / 2026年5月27日
はじめて八丈島に来たのは、1泊2日の観光でした。「島内バスでなんとかなる」と思って、レンタカーは予約しませんでした。
結果、夕方になって夕食を食べに出ようとしたら、最寄りのバス停は20時で終わり。タクシー会社に電話したら「30分待ち」と返ってきて、待っているうちにお店の閉店時間が迫ってきて、結局その夜は宿の冷蔵庫にあった非常用のカップ麺を食べました。翌朝、空港に電話して当日レンタルを手配しに行きました。
その失敗を反芻するうちに、「八丈島ではどう動けばいいか」という問いが頭に残るようになりました。レンタカー一択、と言い切るのは簡単だけど、実際の島はそんなに単純ではなくて、滞在日数・宿の場所・夜の予定・誰と来るかで、ベストな組み合わせは違ってきます。今回は、それを自分なりにいちど整理して書いてみます。
まず、島の地形を共有する
八丈島は南北18km、東西8km。空港は島のほぼ中央、三根・大賀郷の「坂下」エリアにあります。坂下と、樫立・中之郷・末吉の「坂上」の二層構造で、坂上に上がるには峠道を一本越える必要があり、その峠が島の移動感覚を実質的に二つに分けています。
みはらしの湯(末吉)から南原千畳敷(大賀郷)まで車で約30分、八丈富士の登山口から裏見ヶ滝(中之郷)まで車で約25分。「スポット間が思ったより遠い」というのが、来てから多くの人が言う第一印象です。
選択肢を、4つ並べる
八丈島での移動手段は、現実的に次の4つです。組み合わせて使うのが普通で、どれかひとつに絞る人は少ない。
- レンタカー
- 町営バス
- タクシー
- 徒歩・自転車
順番に、それぞれの居場所を見ていきます。
1. レンタカー:滞在の背骨になる
結論を先に書くと、3泊以上、あるいは夜に出歩く予定があるなら、レンタカーが軸になります。これは島が車社会だから、という話ではなく、バスの本数とタクシーの台数という制約から来る現実です。
会社の系統
八丈島内のレンタカーは10社強。大手チェーンとしてはトヨタレンタカー八丈島店が空港近くにあり、ネット予約・クレジット決済に対応しています。軽自動車1日4,400円〜、コンパクト1日5,500円〜が目安。空港で借りて空港近くで返す動線が組みやすいので、はじめての人にはまずこれが無難です。
もう一つの選択肢が個人経営の島内事業者です。カーセンター八丈、ミツトヨレンタカー、フリーダムレンタカー、舟山レンタカーなど三根・大賀郷を中心に10社前後あり、軽1日3,800〜5,000円前後から。大手より少し安く、空港や港まで車を届けてくれる店、宿泊先で受け渡しに対応する店もあります。ただしネット予約に対応していない店も多く、電話・現金中心の場合が多い。八丈町観光協会のサイトから複数の小規模店をまとめて問い合わせられる窓口もあって、繁忙期に在庫を探すときはここを併用するのが早いです。
サイズの目安
| サイズ | 料金/日 | 向く滞在 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 軽自動車 | 3,800〜5,000円 | 1-2人・荷物少なめ | 坂上の峠道で力不足を感じることがある |
| コンパクト | 5,500〜7,000円 | 2-4人・滞在3泊〜 | 島内のバランスが一番取れている |
| ミニバン | 10,000〜13,000円 | 4人以上・大荷物 | 狭い駐車場での取り回しに気を遣う |
お客さんに勧めることが多いのはコンパクト。2人旅でも、軽だと「思ったより小さい」「峠でしんどい」と感じる人がいて、差額の1日1,000〜1,500円で快適さがだいぶ変わるからです。ここをケチる必要はないと思っています。
予約のタイミング
- 夏休み・GW・年末年始:1ヶ月前。1〜2週間前だと軽から先に埋まる
- 春・秋の平日:1週間前で大体取れる
- 冬の閑散期:かなり余裕。ただし個人店は定休日があるので注意
2. 町営バス:使えるけど、絞り込みが要る
島民の足としての八丈町営バスは、ちゃんと走っています。ただし観光客の感覚で「いつでも乗れる」と思っていると、確実に詰まります。主要ルートで1日10本前後、本数の少ないルートは数本。バス停と観光スポットの距離も、徒歩10分前後が標準です。
そのうえで、バスがうまく機能するシーンもあります。八丈町営バスが販売しているBU・S・PA(バスパ)──2日間バス乗り放題+温泉入り放題のデジタル共通券、大人1,000円・小学生500円──を使えば、ふれあいの湯/やすらぎの湯/みはらしの湯の公営3湯にそのまま入れます。湯巡りを目的にした2泊の人には、案外これが正解。バスは使わず温泉だけ回るなら、温泉一日周遊券(入湯証)600円で3湯を1日で各1回入れる選択肢もあります。
注意点として、19〜20時にはほとんどの便が終わります。夜の温泉や居酒屋に行くなら、行きはバス・帰りはタクシー、という組み合わせを最初から決めておく必要があります。
3. タクシー:保険として持っておく
島内のタクシー会社は数社、台数も限られます。「いま呼ぶ→30分後に到着」がそれなりに起きます。流しのタクシーはほぼいません。
使い方として現実的なのは事前予約。夕食19時に居酒屋へ、21時にお迎え、という形で前日までに押さえておくと、移動の保険として機能します。長時間の観光ならタクシーの貸切(1時間8,000円〜)もあり、運転手さんが島の人なのでそのままガイドになります。免許を持たない人や、運転に不慣れな家族と来るときには、案外これが快適。
4. 徒歩・自転車:島の地形をなめないこと
三根・大賀郷の坂下エリアに宿を取って、半径1〜2kmの徒歩で過ごす1泊2日、というスタイルは成立します。空港、宿、町中の食堂、八重根の海岸線あたり。だらだら歩くのに向いた地形です。
自転車は微妙です。レンタサイクルはありますが、空港から坂上までは峠を一本上がるので電動なしだとかなりきつい。坂下エリア内の足としてなら使えますが、観光全般のメイン交通として選ぶと後悔する人が多い。風の強い日も同様で、海沿いの直線で向かい風20m/sに当たると、走れる速度ではなくなります。
組み合わせを、3パターン
「レンタカー一択」と言ってしまうと、実際の旅行スタイルと噛み合いません。代わりに、よく聞かれる3つの組み合わせを置いておきます。
A. レンタカー軸 ── 一般的な観光1〜3泊
朝の便で着いて、空港でコンパクトを借りる。三根のスーパー〈あさぬま〉で飲み物を仕入れて、坂上のみはらしの湯まで一気に走る。夜は居酒屋へ。これがいちばん自然で、選択肢も最大化されます。コンパクト+ガソリン代5,000〜6,000円、計15,000〜25,000円。
B. バス+温泉セット券軸 ── 湯巡りメインの2泊
宿は三根・大賀郷の坂下エリア。BU・S・PA(バスパ)1,000円で、ふれあい・やすらぎ・みはらしを巡る。スポットは3つに絞り、夜は宿で食事をとる。レンタカーなしで2泊、けっこう静かな旅ができます。八丈島の温泉は他にもあって、公営6湯と番外1湯の使い分けは別記事に書きました。
C. レンタカー+タクシー貸切 ── 親と来るとき、車に乗れない人と来るとき
運転担当が1人だけ、夜は飲みたい、というケース。昼はレンタカー、夜は宿〜居酒屋を貸切タクシーで、というハイブリッド。1時間8,000円〜の貸切を3〜4時間で組むと、運転リスクと移動の自由度の両方を確保できます。
運転するときの、いくつかのこと
給油は1〜2回、別予算で5,000〜6,000円
ガソリンスタンドは島内に数か所のみ。空港・港の近くは便発着の前後で混みます。返却は満タン指定が基本なので、出発前の最後の給油場所を頭に入れておくと安心です。
坂上の峠道
樫立・中之郷・末吉に上がる峠は、登り坂と急カーブが連続します。雨の日の坂上は、慣れない人ほど時間に余裕を見たほうが安全。軽より普通車のほうが楽、というのは坂上を運転した経験のある人が共通して言うことです。
横殴りの雨
八丈島の雨は、上から降るより横から来ることがあります。ワイパー最強・ライト早め・トンネル後の視界回復。視界がほぼゼロになる瞬間もあるので、無理せず安全な場所で待機する判断も必要です。
空港カウンターの開店時間
到着便とレンタカーカウンターの営業時間がずれることがあります。第一便(羽田07:30発・八丈島08:25着前後)着の人が、カウンター開店待ちで30分立ち往生、というシーンを何度か見ました。便と時間が合うか、事前にひとこと確認しておくと安心です。
最後に
「八丈島はレンタカー必須」と言い切ることは簡単で、実際9割の人にはその通りです。でも残りの1割、たとえば運転免許を持たない人、運転を任せたくない家族と来る人、湯巡りだけして静かに2泊したい人、にとっては、別の答えがちゃんとあります。
朝の便で着いて、空港カウンターでキーをもらって、まず三根のスーパー〈あさぬま〉で飲み物を買って、坂上のみはらしの湯まで一気に走る ── これが自分にとっての一番ふつうの入り方ですが、それが正解だとは思っていません。自分の滞在の組み立てに合う移動を、いちど考えてみてもらえたら、書いた目的としては足ります。
注: レンタカー会社の営業時間・料金、バス・タクシーの運行は変動します。出発前に各社の最新情報をご確認ください。
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